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VLOOKUPのエラーでお困りのあなた、出ているエラーの文字を読みましたか?
パニックにならず落ち着いて、まず表示されている文字を確認しましょう。
内容によっては案外簡単に解決できることもあります。
逆に、意味もわからずにいじると、かえって傷口を深めてしまうかもしれません。
この記事では、VLOOKUPのエラーを原因別にアプローチし、解決・対策する方法を解説します。
お急ぎの方は、下記からすぐに該当項目へ移動してください。
セルの表示 | 発生理由 | 原因を調べる | 解決する・対策をたてる |
#N/A | 検索値が見つからない | 原因を調べる | 非表示や他文字へ置き換える |
#NAME? | 数式に誤りがある | 原因を調べる | 予防する |
#REF! | 参照先に不備がある | 原因を調べる | 解決する |
#VALUE! | 列番号の指定に誤りがある | 原因を調べる | 解決する |
0 | 参照データの該当セルが空白 | 原因を調べる | 空白セルを探す 非表示や他文字へ置き換える |
本文中の解説図はクリックで拡大表示します。別途ページでPDFファイルもダウンロード可能です。
≫ PDFファイル参照ページはこちら
VLOOKUP を基礎から応用まで完璧にマスターしたい方は、次の記事もあわせて参照ください。
≫ VLOOKUPの使い方|基礎から完璧マスター&便利技20選を超図解!
マイクロソフト公式サイトの解説を参照したい方はこちら
≫ Microsoft|Officeのサポート~VLOOKUP関数
#N/A エラーの原因と対策|非表示や他文字へ置き換える
1-1. #N/A エラーの原因と解決方法
「#N/A」は「Not Available(ノット アベイラブル)」と読みます。検索値(※)を見つけられない場合に発生します。
(※)検索値とは、データを探す手掛かりとなる値のことです。
発生原因は主に3つあります。それぞれよくあるパターンを解説していきます。
(1) 検索値が存在しない
探している検索値が検索範囲(※)に存在しない場合、いくら探しても見つからず#N/Aエラーとなります。
(※)検索範囲とは、探したいデータが入っている表
データのメンテナンスの最中に、うっかり消してしまったかもしれません。データの作成途中で未入力段階でもエラーになります。
#N/Aエラーが出ている検索値が、検索範囲に本当に存在するかをまず調べましょう。
(2) 検索値の文字列が間違っている
検索値が存在するにも関わらず#N/Aエラーになる場合、文字列が完全には一致していないことが考えられます。
VLOOKUPは、厳密な条件のもとに検索値を探します。綴りの間違いや全角半角の違い、書式設定が異なる場合も、すべて別物です。
次のようなケースを疑って、調べてください。
■綴りが間違っている
綴りが間違っていると不一致でエラーになります。英大文字の「O(オー)」と数字の「0(ゼロ)」や、英小文字の「l(エル)」と数字の「1(イチ)」などは特に間違いやすいです。
見分けにくい場合は、Wordに貼り付けて文字サイズを大きくし、フォントを明朝体などに変更してみましょう。
見分けがつきにくい文字について具体例を知りたい方はこちら
≫ 【見分けがつきにくい文字】
■セルの書式設定が異なっている
VLOOKUPはセルの書式設定(※下記「参考」参照)が異なると別物として扱います。特に数字の場合、書式設定が「数値」と「文字列」で異なれば、不一致になります。目視では気付きにくいので、セルの書式設定を開いて確認しましょう。
書式設定を変更する件数が多く手作業では追いつかないようであれば、「区切り位置」という機能で一括変更できます。詳しくはこちら
≫ 書式設定を「区切り位置」で一括変更
■空白が紛れ込んでいる
文字に間違いが無くても、空白が紛れ込んでいると不一致になります。目視だけでは気付きにくいので注意が必要です。
他からデータを流用すると、意図せず空白が含まれていることがあります。他にも「センタリング」の機能を知らない人が、上下のセルと縦位置を揃えるために空白を挿入しているケースもあります。他人の作成したデータはうのみにせず、特に注意しましょう。
紛れ込んでいる空白を一括削除する方法
紛れ込んでいる空白を一括削除するなら、「検索と置換(CTRL+F)」を使うと便利です。「検索する文字列」の欄に空白を入れ、置換後の文字列には何も入れずに、「すべて置換」をクリックします。全角と半角の両方消すことを忘れないでください。
空白の有無について詳しくはこちら
≫ VLOOKUPは空白の有無も区別する
(3) 探し方が間違っている
探し方が間違っていると、検索値が存在しても見つけられず#N/Aエラーになります。VLOOKUPは詳細な条件設定が必要なため、正しく記述できているか確認が必要です。
■ 検索範囲の一番左の列に検索値がない
VLOOKUPは検索範囲の一番左の列を検索し、その右側にあるデータを返します。検索値が一番左にない場合は検索できません。
検索値が一番左で、返したいデータがその右側に並ぶように、検索範囲の表を作成しましょう。
■ 検索範囲における検索値が縦に並んでいない
VLOOKUPは縦方向にしか検索できません。
検索値が横に並んでいる場合は、縦になるよう検索範囲を作り直す必要があります。
■ 検索方法(FALSE/TRUE)の選択を間違っている
検索方法(FALSE/TRUE)の選択を間違っている場合、エラーになる可能性があります。
テストの点数を判定する数式の場合、TRUE(近似値検索)であれば近い値を見つけて返すのためエラーにはなりにくいです。
FALSE(完全一致検索)にすると、判定表に載っている点数以外はすべてエラーになります。
■ TRUE(近似値検索)で検索範囲の最小値よりも小さい値を検索
TRUE(近似値)検索であっても、検索範囲の最小の検索値より小さい値を検索しようとするとエラーになります。テストの判定表で検索値の最小値が40点の場合、35点はエラーになります。
検索値の最小値は考えられる一番小さい値に設定しましょう。
■ TRUE(近似値検索)で検索範囲の検索値が昇順に並んでいない
TRUE(近似値検索)で検索範囲の検索値が昇順に並んでいない場合、エラーになる可能性があります。エラーが出ていない場合でも、思い通りの結果になっていないケースもあります。
必ず検索値を昇順に並べましょう。
■ 数式を移動/コピーしたときに検索範囲の指定がずれてしまった
数式を移動/コピーしたときに検索範囲の指定がずれてしまい、エラーになることがあります。移動/コピーの際は検索結果を確認しながら進めましょう。
1-2. #N/Aエラーを非表示や他文字へ置き換える方法
エラーの発生が想定内であれば、「#N/A」を表示させない方がスッキリする場合があります。他の文字へ置き換えると状況を理解しやすくなることもあるでしょう。表の輪郭だけ先に作ってデータは後から入力することなどは、よくあるケースです。
方法を2つご紹介しますので、用途に応じて選択してください。
関数 | 特徴 | 注意点 | 詳細へ |
IFERROR (イフエラー) | エラーの場合のみ特定の処理を実行する (正常の場合はVLOOKUPを実行するのみ) | EXCEL2007以降でしか使えない | 詳細へ |
IF+ISERROR (イズエラー) | エラー「あり」と「なし」でそれぞれ特定の処理を実行できる | VLOOKUPを2回記述するため式が長くなる | 詳細へ |
N/Aエラーを非表示にするだけであれば、IFERRORがシンプルでおすすめです。ただし、エクセルのバージョンが2007以降でしか使えません。
2003以前のバージョンをお使いの場合は、IF+ISERRORを選んでください。
(1) IFERRORを使う場合
IFERRORは、エラーを判定しエラーの場合のみ指定の値を返します。VLOOKUPと組み合わせてエラーを非表示する数式が下記です。
=IFERROR(VLOOKUP(D2,A:B,2,FALSE),””)
エラーの場合は「””」(※)を返すので、セルには何も表示されません。
(※)「””」は、エクセルでは何も入れない空っぽを意味します。
VLOOKUPが正常であればそのまま検索結果が表示されます。
特定の文字列を表示させたければ、「””」を「”作成中”」などに置き換えればOKです。数式を組み込むこともできます。
IFERRORと組み合わせてエラーを非表示にする方法について詳しく知りたい方はこちら
≫【VLOOKUP】IFERRORでエラーを非表示&複数シートを検索する裏技
(2) ISERROR+IFを使う場合
ISERRORはエラーを判定する関数で、IFは条件に合致するか否かに応じて処理を分岐させる関数です。ISERRORでエラーを判定し、IFで条件分岐して、非表示にしています。
数式は次のとおりです。
=IF(ISERROR(VLOOKUP(D2,A:B,2,FALSE),””,VLOOKUP(D2,A:B,2,FALSE))
数式の前半にあるVLOOKUPをエラー判定し、エラーなら「””」を、正常なら後半のVLOOKUPを実行します。
特定の文字列を表示させたければ「””」を「”作成中”」などに置き換えればOKです。数式を組み込むこともできます。
ISERRORはエラーの場合が「TRUE(真)」
ISERRORは、エラーの場合が「TRUE(真)」となることに注意しましょう。
感覚的には「TRUE(真)」の方に正常なイメージがありますが、実際には下記です。
エラー発生 = TRUE(真)
正常 = FALSE(偽)
IFの数式内での「””」の位置関係を間違えやすいので、気をつけてください。
マイクロソフト公式サイトの解説を参照したい方はこちら
≫ Microsoft|Officeのサポート~エラー値 #N/A を修正する方法
ISERROR+IFと組み合わせてエラーを非表示にする方法について詳しく知りたい方はこちら
≫【VLOOKUP】IF+ISERRORでエラーを非表示にする方法(エクセル2003以前でも可)
VLOOKUPの#N/A エラーについてさらに詳しく知りたい方は下記の記事へ
≫ #N/A エラーを瞬殺!解決法3選と非表示&他文字へ置き換え~VLOOKUP
#NAME? エラーの原因と対策
2-1. #NAME? エラーの原因
VLOOKUPでの#NAME? エラーは、数式の綴りに誤りがある場合に発生します。誤字脱字などのスペルミスをまず確認しましょう。
「TRUE」や「FALSE」も同様にチェックが必要です。
【参考】間違いやすい綴り
間違いやすい綴りをまとめました。参考にしてください。
【正】VLOOKUP |
VLOOKAP |
VL00KUP(数字) |
VLOOK_UP(空白) |
VLOCKUP |
VLOOLUP |
VLOOOKUP |
VLOKUP |
VLUKUP |
【正】FALSE |
FALS |
FALES |
FALUS |
FALULS |
FALUSE |
FAULSE |
【正】TRUE |
TURE |
TRU |
TURU |
2-2. #NAME? エラーの対策
VLOOKUPの#NAME? エラーを防ぐには、数式を作成する時にカンに頼らず、関数作成ツールを使いましょう。また作成後も見直すことが大切です。
(1) 関数作成ツールを使って数式を作る
関数作成ツールを使えば確実に数式を作ることができます。
上図は商品マスタを作成する際に使用した解説図です。仕入先コードを入力すると仕入先名が自動転記される数式です。参考にしてください。
(2) 正しい綴りは入力後に大文字に変化することを確認する
正しく作成された数式は、数式の窓では大文字で表示されます。
小文字で入力した場合でも大文字に変換されます。もし小文字のままであれば、綴りが間違っているので確認しましょう。
(3) #NAME? エラーは必ず解決する|非表示にしてはいけない
#NAME?エラーは必ず解決しておきましょう。非表示などにしてはいけません。
他のエラーの中には一時的に発生するために非表示にしておくものもあります。例えば検索値が未入力のために発生する「#N/A」エラーなどです。こういったエラーはデータが完成すれば解消する場合が多いので、IFERRORなどと組み合わせて非表示にする場合があります。
しかし、#NAME? エラーは綴りが間違っているために出ているエラーです。綴りを訂正しておかない限り、いつまでもエラーが出続けます。いつか解消するであろう他のエラーとは区別すべきです。
マイクロソフト公式サイトの解説を参照したい方はこちら
≫ Microsoft|Officeのサポート~エラー値 #NAME? を修正する
VLOOKUPの#NAME? エラーについてさらに詳しく知りたい方は下記の記事へ
≫ #NAME? エラーは数式の綴りを確認|誤り事例付~VLOOKUP
#REF! エラーの原因と解決方法
3-1. #REF! エラーの原因
#REF! は「Reference(リファレンス)」と読みます。無効な範囲を参照している場合に発生します。
よくあるのは次のようなケースです。
(1) 検索範囲の幅より大きい列番号を指定している
検索範囲の列の幅より大きい列番号を指定すると、#REF!エラーが発生します。例えば検索範囲が2列しかないのに、「3」を指定した場合です。
(2) 検索範囲の一部を削除した
検索範囲の一部を削除した際も、#REF!エラーが発生する場合があります。例えば、4列あった検索範囲を1列削除した場合に、4列目を指定していると発生します。
(3) 検索値を誤って削除してしまった|数式にもエラーが表示
VLOOKUPの検索値のセルを削除してしまった場合も、#REF!エラーが発生します。この場合は、セルだけでなく、数式の中にも#REF!エラーが表示されます。
3-2. #REF! エラーの解決方法
#REF! エラーの解決方法として、次の3つを試してみましょう。
(1) シート削除後にエラー発生なら元に戻して確認
シートの一部を削除した直後に#REF!エラーが発生した場合は、それ以上進めず一旦手を止めましょう。
処理の履歴をたどって、どこを削除したときにエラーになったかを確認します。
原因を探ろうとしてあれこれ触ると、かえって解らなくなるので注意しましょう。
(2) 数式チェックツールで参照先をチェック
原因がわからない場合は、数式チェックツールで参照先を確認します。すぐに使える方法を3つご紹介します。
■選択したセルの数式を表示する
特定のセルの数式を確認したい場合は、「F2」キーを押すかダブルクリックします。数式の検索値と検索範囲がそれぞれ色分けされ、対応したセルにも色が付きます。数式に変更を加えれば、色分けされたセルも連動して変更されます。
■シート内のすべての数式を表示する方法
シート全体の数式を一覧でチェックしたい場合は、メニュータブにある「数式」をクリックし、続いて「数式の表示」をクリックします。
シート内のすべての数式が、計算結果ではなく数式そのものが表示されます。その状態のまま特定のセルをクリックすると、クリックした数式の検索値と検索範囲が色分けで表示されます。
■数式の参照先を矢印で表示する方法
数式がどのセルを参照しているかを矢印で表示する方法があります。メニュータブにある「数式」をクリックし、続いて「参照元のトレース」をクリックします。どのセルからデータを引っ張ってきているかがわかります。
矢印を消すには、「トレース矢印の削除」 をクリックします。
(3) VLOOKUPの基本事項を確認
VLOOKUPの使い方に自信がない場合は、基礎知識を確認しましょう。
VLOOKUPは項目が4つもあり、それぞれ細かなルールがあります。あやふやな記憶を頼りに設定すると失敗のもとです。基礎知識を確認することが最も早道な場合もあります。
VLOOKUPの範囲指定についての基本的なルールを確認したい方はこちら
≫ VLOOKUPの使い方|3-3. =VLOOKUP(●,■:■,▲,◆) ▲:何列目を返すかを指定
マイクロソフト公式サイトの解説を参照したい方はこちら
≫ Microsoft|Officeのサポート~エラー値 #REF! を修正する方法
VLOOKUPの#REF! エラーについてさらに詳しく知りたい方は下記の記事へ
≫ #REF! エラーは無効な範囲を参照している~VLOOKUP
#VALUE! エラーの原因と解決方法
4-1. #VALUE! エラーの原因
VLOOKUPの#VALUE!エラーは、列番号の指定に誤りがある場合に発生します。
誤った指定の例は、次のようなケースです。
(1) 列番号が1以上の数字になっていない
VLOOKUPの列番号の指定が1より小さいと、#VALUE!エラーとなります。
必ず1以上の数字でなければなりません。
小数点以下切り捨てに注意
列番号の指定が小数を含む場合は、小数点以下は切り捨てになります。切り捨て後の数字が1より小さくなると、#VALUE! エラーとなるので注意しましょう。
(2) 列番号が数式の場合に計算結果が1以上の数値になっていない
列番号を数式で指定している場合で、その計算結果が1より小さいと#VALUE!エラーとなります。
列番号の指定でよく使われるのはCOLUMNです。「=COLUMN()」に加減算することで列番号を作り出します。このとき調整数値を間違えると#VALUE!エラーとなります。
(※)COLUMNで列番号を指定する方法について詳しくはこちら
≫ (参考)列番号を数式で指定する方法
(3) 検索値が255文字以内になっていない
検索値が255文字を超えると#VALUE!エラーが発生します。
上図では、検索値を1文字ずつ増やしてみました。255文字までは正常な値を返していますが、256文字でVALUE! エラーが発生しています。
エラーは文字数が問題なだけで、行数は関係ありません。255行を超えても大丈夫です。ちなみにVLOOKUPは100万行まで検索できます。
詳しくはこちら
≫ エクセルの商品マスタ作成を自動転記で入力効率化&検索100万件でも楽々|
4-2. #VALUE! エラーの解決方法
#VALUE! エラーを解決する際、列番号を数字で直接書き込んでいる場合は、目で確認するだけです。1以上の数字になっているかチェックしましょう。
問題は数式で指定している場合です。次の2つの方法を解説します。
(1) 数式の列番号以外の部分を削除してチェックする方法
数式窓に表示されている数式の列番号の部分だけを残して他を削除することで、列番号をチェックします。削除する前に数式を念のためコピーしておきましょう。
手順について詳しく知りたい方はこちら
≫ VALUE! エラーは列番号の指定に誤りあり~VLOOKUP|2-1.
(2) 数式の一部を切り出して別のセルに貼り付けてチェックする方法
数式窓に表示されている数式の列番号の部分だけを切り出して別のセルに貼り付けて、列番号をチェックします。
手順について詳しく知りたい方はこちら
≫ VALUE! エラーは列番号の指定に誤りあり~VLOOKUP|2-2.
マイクロソフト公式サイトの解説を参照したい方はこちら
≫ Microsoft|Officeのサポート~エラー値 #VALUE! を修正する
VLOOKUPの#REF! エラーについてさらに詳しく知りたい方は下記の記事へ
≫ VALUE! エラーは列番号の指定に誤りあり~VLOOKUP
「0」になる原因と問題点|非表示や他文字へ置き換え
VLOOKUPは、参照先の該当セルが空白の場合に0を返します。エラーではありませんが、意図しない「0」が表示されると困るケースもあることでしょう。
5-1. 「0」になる原因と問題点
該当セルが空白になるケースは、主に次のケースが考えられます。
(1) もともとデータがないケース
もともとデータが存在しないのであれば、VLOOKUPが0を返して当然です。
しかし、その結果を計算に組み込んでいる場合、誤った答えを出す恐れがあります。
例えば試験の結果をVLOOKUPで集計している場合を考えてみましょう。
試験を受けていない科目があれば、そのセルは空白です。しかしVLOOKUPは0を返します。つまり0点扱いになります。すると平均点に影響するわけです。
(2) 誤操作でセルのデータを削除してしまったケース
誤操作でデータを削除してしまった場合も、VLOOKUPは0を返します。うっかりDeleteキーに触れてしまった場合などです。
この場合、速やかに戻さなければなりません。しかし、0が表示されてしまうと、誤操作で削除されたことに気付きません。もともと0だったかも、と誤認してしまうため、本来あるべき状態に戻せなくなります。
(3) データの入力途中(いずれ入力する)のケース
参照データが作成途中で未入力のセルがある場合も、VLOOKUPは0を返します。転記先に0が並ぶわけです。
この場合、状況を把握しているので混乱は少ないでしょう。とはいえ無意味に0が並んでいると煩わしいです。データが未完成なのか、実は0点が続いているのか判断しづらいです。できれば見分けられる方が、見た目もスッキリすることでしょう。
5-2. 「0」の原因となる空白セルを探す方法
VLOOKUPで「0」となる原因は、参照先に空白セルにあることです。空白セルが存在することが好ましくない場合は、速やかに空白セルを探す必要があります。
空白セルを探す方法を4つ解説します。
(1) Ctrl + 矢印(↓→↑←)で移動する
Ctrl + 矢印(↓→↑←)で空白セルの手前まで移動できます。さらに押すと空白セルをまたいでデータの入っているセルに移動します。さらに押すとこれを繰り返します。
【メリット・得意なシーン】
■一番簡単
■特定の行や列だけなら素早く調べられる
【デメリット・苦手なシーン】
■どこを探せばいいかわからない場合に時間がかかる
■たくさんあると何度も矢印キーを押す必要がある
100万行の果てへ
データの端まで来てあともう一度押すと、シートの果てまで飛んでしまいます。行では100万、列では1万3千列の果てになります。
その場合あわててマウスのスクロールで戻ろうとすると時間がかかります。再度Ctrlと反対向きの矢印を押せば元の場所に戻れます。
(2) ジャンプ機能を使う
ジャンプ機能を使えば、簡単に空白セルに探せます。縮小表示すれば空白セルが一目瞭然で、一覧性が高いのが特長です。
ただ、特定のセルで何か操作をすると結果表示が消えてしまいます。再度同じ操作をする必要があります。
【メリット・得意なシーン】
■やや簡単
■全体でどのくらいあるかが把握しやすい
【デメリット・苦手なシーン】
■特定のセルを編集すると結果表示がリセットされる
■編集をともなう場合は何度も処理が必要になり面倒
(3) オートフィルタで空白セルのある行を抽出する
オートフィルタで空白セルを抽出することができます。抽出した空白セルにデータを一気に貼り付けることができるので、編集を伴う場合に便利です。
ただ、準備に手間がかかります。列ごとにしか調べることができず、全体の把握もしにくいです。
【メリット・得意なシーン】
■特定の列を調べるのには簡単
■抽出した結果に対してまとめて貼り付けたりできる
(※)ただし「値貼り付け」にすると隠れているセルにまで貼り付けられてしまうので注意してください。
【デメリット・苦手なシーン】
■準備に手間がかかる
■列ごとにしか調べられない
フィルタのクリアを忘れずに
隣の列を調べる時は、今かけているフィルタをクリアしてからにしましょう。フィルタをかけたまま隣のフィルタを設定してしまうと、両方の列に空白がある行しか抽出されません。
空白セルを見落とす恐れがあるので注意しましょう。
(4) 条件付き書式で空白セルに色を付ける
条件付き書式で空白セルに色を付けることで、空白セルを探すことができます。
【メリット・得意なシーン】
■全体でどのくらいあるか把握しやすい
■色を自由に設定でき、視認性に優れいている
■入力すると色が消えていき、進捗がわかりやすい
【デメリット・苦手なシーン】
■設定に手間がかかる
■場所がわかるだけなので、編集は1つずつ必要
■設定解除を忘れやすい
条件付き書式の解除を忘れずに
空白セルが真っ赤になっている間は1つずつ丁寧に処理できるのでわかりやすいです。しかしすべて入力し終わると、赤色セルが無くなります。すると条件付き書式を設定しているのを忘れてしまいます。
条件付き書式はエクセルの動作が重くなる原因の一つです。作業が済んだら解除するのを忘れないようにしましょう。
5-3. 「0」を非表示や他文字へ置き換える方法
VLOOKUPで「0」になることが避けられない場合は、非表示にするか、あるいは他の文字へ置き換える方法を検討しましょう。
次の6つの方法があります。目的やニーズに応じて使い分けてください。
(1) オプション設定で「0」を非表示にする
エクセルのオプション設定で「0」を非表示にすることができます。シート単位で設定できます。
ただし、表示しないだけで「0」は存在します。それを忘れて計算式を組むと、結果を誤る恐れがあります。またセル単位では設定できません。
【メリット・得意なシーン】
■数式はそのままで簡単に設定できる
■シート単位で設定できる
【デメリット・苦手なシーン】
■意味のある0まで見えなくなる
■特定のセルだけ設定することができない
■設定していることを忘れやすい
(2) 書式設定で「0」を非表示にする
書式設定で「0」を非表示にできます。具体的には、表示形式のユーザー定義で「0;-0;;@」と設定してください。セル単位で設定できます。
ただし、書式設定の表示形式で他の設定をしている場合は、できないケースがあります。その場合は条件付き書式で設定してください。
≫ 3-3. 条件付き書式で「0」の文字色を白色にする
【メリット・得意なシーン】
■数式はそのままで簡単に設定できる
■セル単位で設定できる
【デメリット・苦手なシーン】
■意味のある「0」まで見えなくなる
■他の書式設定をしていると、できないケースがある
■設定していることを忘れやすい
(3) 条件付き書式で「0」の文字色を白色にする
0は存在する 計算結果に0が算入される 文字の色を白色にしただけ 気付かないため計算を誤る
条件付き書式で「0」を非表示にできます。具体的には、セルが「0」の場合に文字色を白色に設定します。セル単位で設定できます。
条件付き書式は設定画面を開かないと、設定していることに気付きにくいです。必要なくなったら忘れず解除しておきましょう。残しておいてもエクセルの動きが重たくなるだけです。
【メリット・得意なシーン】
■数式はそのままで簡単に設定できる
■セル単位で設定できる
【デメリット・苦手なシーン】
■意味のある0まで見えなくなる
■条件付き書式の設定画面を開かないと、設定していることに気付きにくい
(4) &”” と組み合わせて「0」を非表示にする
=VLOOKUP($H2,$A:$F,2,FALSE)&””
VLOOKUPの式に「&””」を追加すると、検索結果が「0」の場合に空白になります。
ただし、VLOOKUPの検索結果がすべて文字列になり、計算に使えなくなるので注意してください。
【メリット・得意なシーン】
■オプションや書式などの設定を変えずに「0」を非表示にできる
【デメリット・苦手なシーン】
■検索結果がすべて文字列になる(数字でも計算できなくなる)
(5) IFERROR、VALUE、&”” と組み合わせて「0」を非表示や他文字へ置き換える
=IFERROR(VALUE(VLOOKUP($H2,$A:$F,2,FALSE)&””),””)
前項(4) の欠点を補う方法です。(4) で解説した「&””」を追加しただけでは数字がすべて文字列に扱いになってしまいます。そこで「VALUE」と「IFERROR」をさらに追加しました。
この方法であれば空白にするだけでなく、他の文字への置き換えも可能です。
ただし、検索先のセルに文字列が入っていても、空白になってしまいます。文字列をそのまま返すことができません。
【メリット・得意なシーン】
■オプションや書式などの設定を変えずに「0」を非表示にできる
■数字であれば計算できる
■空白以外の文字列への置き換えも可能
【デメリット・苦手なシーン】
■検索先のセルに文字列が入っている場合、返すことができない(空白になる)
(6) IF と組み合わせて「0」を非表示や他文字へ置き換える
=IF(VLOOKUP($H2,$A:$F,2,FALSE)=””,””,VLOOKUP($H2,$A:$F,2,FALSE))
「IF」と組み合わせることで「0」を非表示にできます。空白以外の場合はVLOOKUPと全く同じ結果になります。
デメリットは、1つの数式の中にVLOOKUPを2回記述しなければないことです。数式が大変長くなり、メンテナンスも難しくなります。
【メリット・得意なシーン】
■オプションや書式などの設定を変えずに「0」を非表示にできる
■数字であれば計算できる
■空白以外の文字列への置き換えも可能
■検索先のセルに文字列が入っていても返すことができる
【デメリット・苦手なシーン】
■VLOOKUPの数式を2回記述する必要があり、数式全体が長くなる
マイクロソフト公式サイトの解説を参照したい方はこちら
≫ Microsoft|Officeのサポート~ゼロ値を表示する、または非表示にする
VLOOKUPで「0」になる原因と対策について詳しく知りたい方は下記の記事へ
≫ VLOOKUPの「0」の原因|非表示や他文字への置換法6選&空白セルの探し方4選
まとめ|エラーは原因別にアプローチすれば効率よく解決できる
エラーは解決しましたでしょうか?
VLOOKUPのエラーは、原因を切り分けてアプローチすれば、案外簡単に解決できるものです。
お急ぎの方は、下記からすぐに該当科目へ移動してください。
表示 | 発生理由 | 原因を調べる | 解決する・対策をたてる |
#N/A | 検索値が見つからない | 原因を調べる | 非表示や他文字へ置き換える |
#NAME? | 数式に誤りがある | 原因を調べる | 予防する |
#REF! | 参照先に不備がある | 原因を調べる | 解決する |
#VALUE! | 列番号の指定に誤りがある | 原因を調べる | 解決する |
0 | 参照先の該当セルが空白 | 原因を調べる | 空白セルを探す 非表示や他文字へ置き換える |
本文中の解説図はクリックで拡大表示します。別途ページでPDFファイルもダウンロード可能です。
≫ PDFファイル参照ページはこちら
VLOOKUP を基礎から応用まで完璧にマスターしたい方は、次の記事もあわせて参照ください。
≫ VLOOKUPの使い方|基礎から完璧マスター&便利技20選を超図解!
エクセルでお困りのことがありましたら、『エクセルの窓口』で検索してください。
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